魚沼市(新潟) ほとら峯(630m) 2023年4月8日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:22 国道(駐車箇所)−−5:27 吊橋−−5:31 県道−−5:37 巡視路入口−−6:08 巡視路を離れる−−6:28 597m峰−−6:39 623.9m三角点峰−−6:46 630m峰(山頂)−−6:52 622m峰−−7:08 630m峰(山頂)−−7:08 623.9m三角点峰 7:17−−7:24 597m峰を巻く−−7:36 巡視路−−7:50 巡視路入口−−7:57 県道を離れる−−7:59 吊橋−−8:06 国道(駐車箇所)

場所新潟県魚沼市
年月日2023年4月8日 日帰り
天候雨後曇&ガス
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場国道路側に駐車余地あり
登山道の有無597m峰北方の560m峰までは送電線巡視路あり。そこから山頂までは道無し
籔の有無残雪に埋もれて藪はほぼ無し
危険個所の有無無し
冬装備ピッケル(未使用)、10本爪アイゼン(未使用)
山頂の展望無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント寒気の影響で天気が下り坂の中を決行。送電線巡視路で標高が低く雪が無いエリアの藪を避け、残雪が期待できる東向き及び北向きの尾根を選択したらまだ残雪があり藪を回避できた。ただし主稜線の藪はそれほど濃くなく、無雪期に送電線巡視路から山頂往復も可能と見た。ほとら峯最高峰は623.9m三角点峰南側の630m峰であり今回もそこを山頂とした。帰りは三角点峰山頂でルートを見失って数年ぶりにワンデリングしてしまった


ほとら峯山頂(630m峰)。山頂標識や目印等の人工物は見当たらなかった


国道路側に駐車 只見線の線路を渡るのは13年ぶり
線路の反対側には舗装された廃道あり 破間川にかかる吊橋。立派で驚いた
吊橋はダム巡視用だった 黒又川にかかる橋は車道用
県道は予想外に除雪されていた(ただし木開通) 除雪終点は車止めあり
道路縁の雪が無い場所を歩く 送電線巡視路入口
いきなりの急登 傾斜が緩むと残雪で巡視路不明に。雪に埋もれた谷を登る
尾根に上がる巡視路を無事に発見 刈り払いが無いと猛烈な灌木藪
最初の送電鉄塔 尾根上に巡視路が延びる
イワナシ イワウチワ
2本目の送電鉄塔。この手前で巡視路を離れて尾根を登ることに 標高470m付近
標高500m付近 標高540m付近から見た三角点峰
標高550m付近で尾根上の雪が落ちて北を迂回 標高550m付近で北斜面を迂回中
標高580m付近で南北に延びる主稜線に出た 標高580m付近から北を見ている
597m峰 山頂に向かう稜線は東斜面は残雪が続く
570m鞍部。尾根直上から西斜面は雪が無い 570m鞍部から登り返し
623.9m三角点峰 西側は地面が出ているが三角点は雪の下
623.9m三角点峰から見た630m峰(ほとら峯山頂) 雪が消えて出ている藪は意外と薄い
ほとら峯630m峰(山頂) 念のために622m峰まで足を延ばすことに
622m峰 622m峰てっぺん。背景は630m峰
623.9m三角点峰南側直下 623.9m三角点峰
三角点峰北側で落とし物を無事に回収 ワンデリング後に主稜線に乗る
帰りは597m峰東側を巻いた 巻き終わって北斜面に移行
623.9m三角点峰 浅草岳方面を見ているが低い雲に覆われて見えない
魚止山方向。こちらも雲の中 送電線巡視路に合流
下界でも平坦地はまだ白いまま マンサク
タムシバ。今が花盛り スミレだが種類は不明
巡視路が尾根を離れて杉植林帯へ 県道に降り立つ
黒又川上流方向を見ている カタクリ。日が陰っていると花を開かないようだ
雪が消えた縁を歩く スミレだが種類は不明。巡視路で見たのと同じ種類か?
デブリを越えると除雪終点 施錠された鎖の車止め。おそらく通年規制だろう
雪が溶けた地面にはフキノトウ 放流警告用サイレン
吊橋 ほとら峯を見上げる。山頂は見えない
吊橋を渡ると水田地帯 只見線の線路
国道 まだ蕾のキクザキイチゲ
駐車箇所到着


 先週の高鼻山〜魚止山の時に可能であれば魚止山からほとら峯まで縦走してから下山も考えていたが、残雪が少なく長距離の藪漕ぎ必至の状態だったので断念した。しかしこの界隈で未踏はほとら峯のみでありこのままでは気持ち悪い。残雪があるうちに登ってしまいたかった。

 今週末は金曜日に寒冷前線が通過して土曜日から寒気が入って日曜朝にかけて日本海側、山地では雪の予報が出た。寒気の影響で大気の状態が不安定化し、日本海側では昼前から雨の予報。雨に降られないのは土曜早朝だけのようで短時間で登れる山しか選択の余地は無く、ほとら峯が最適であった。

 ほとら峯へのルートであるが最もアプローチが短いのは東側の黒又川沿いの県道からであるが、ここは概ね4月下旬まで冬季通行止めで大栃山集落から先は車で入れない。破間川の対岸には国道252号線が通っているので距離的には近いのだが、破間川にかかる橋が無いので使えない。そうなると距離は延びるが西側の渋川集落からとなるが西斜面なので雪は期待できない。唯一の解決策はほとら峯北側で主稜線を東西に横断する送電線巡視路を使って藪を避けて主稜線まで登り山頂を往復するルートである。

 しかし地形図を見ていると意外なルートを見出した。破間川/黒又川合流点付近で破間川にかかる橋を発見したのだ。もしこの橋が実在するなら国道からこの橋を渡って黒又ダム横の冬季通行止めの県道に最短距離で到達することが可能で、残雪が期待できる東向きの尾根を利用可能である。もし残雪が少ない場合は送電線巡視路を使えばいい。巡視路を東側から登れば西側から登るよりずっと短距離で主稜線に至れる。

 破間川にかかる橋が実在するかどうかの確認はグーグルアースの衛星写真が便利。早速調べると車道の橋ではなく吊橋であったが、衛星写真に明瞭に写るくらいなのでかなり頑丈な造りであると予想された。ついでに送電線巡視路があるかも見たが送電線沿いに明瞭に映っていた。ただし巡視路入口は樹林に隠れてどこにあるのか分からなかった。でも常識的に尾根末端付近にあるに違いないので現場で探すことにする。

 金曜夜に出発したが寒冷前線の通過真っ最中で各所で強い雨が降り、道路には霧がかかって車の流れが悪く思ったよりも時間がかかってしまった。大栃山手前で仮眠して日の出前に動き出して吊橋があるはずのちょっと手前のカーブに駐車余地を発見して駐車。早朝の国道は交通量はゼロだった。ライト不要な明るさになってから出発。今回の冬装備はピッケルに10本爪アイゼンとした。もうワカンは不要だろう。残念ながら予報より天気が悪く夜中から断続的に雨が降っており、最初から傘を差して歩きだした。もう片手にはピッケル。この天気では水は不要だろうと持たなかった。

 国道脇には只見線が通っているが付近に踏切は無いので毛猛山に登った時のように線路を横断。まさか人生2回目の線路横断をするとは。線路の向こう側は雪に埋もれた平地だがおそらく水田であろう。その中を通る舗装された道は昔は国道に繋がっていたようだ。

 平地南側の杉植林帯に立派な吊橋が登場。予想より堅牢な造りで幅も人間2人が並んで歩けるくらいの広いものだった。用途は黒又ダムの巡視用との看板があったが、通常は車道から行けばいいわけで、今回のように冬季通行止めの時期に利用するものだろうか。

 吊橋を渡った先も雪を被った水田らしい平坦地で、次は右手の黒又川にかかる車道の橋を渡る。一段上が県道だが意外にも除雪済みであったが開通はまだ先。おそらく大栃山集落からここまでの途中の雪崩のリスク回避のためだろう。

 除雪は黒又ダム横までで、そこには施錠された鎖の車止めがあった。おそらく通年でこの先は一般車通行止めなのだろう。この先に人家は無く黒又川第一ダムと黒又川第二ダムがあるだけで、県道だが実質的にダム管理道と言えよう。車止め近くだけデブリの山ができていて乗り越えたが、その先は道路脇の雪が消えていたので雪の上を歩く必要はなかった。

 遥か頭上を通る送電線直下に至るが山側は灌木藪の崖状急斜面で巡視路があるとは到底思えない地形でありさらに進むと、小さな谷地形でピンクリボンの目印が登場して踏跡が上がっていた。ここが送電線巡視路入口であった。最初の2,30mは土の急傾斜で、しかも雨と雪解け水で濡れて滑りやすそうに見える。フィックスロープが流してあるが泥だらけで触る気にはなれず、ピッケルを支えにして上がった。この頃には雨は上がっていたがいつまた降ってくるか分からないので、いつでも取り出せるように傘を畳んで雨具のポケットに入れた。

 傾斜が緩むと同時に広範囲に残雪が出現し巡視路がどこを通っているのか分からなくなる。左手が杉の植林帯に変わり正面は浅い谷間であるが、おそらく無雪期は植林帯を登っていくのだろう。今は谷は残雪に覆われているのでそちらを登ることにした。その理由として巡視路はどこかのポイントで右手に見えている藪に覆われた尾根に移るはずで、視界が悪い植林帯を登るのではそれを見落とす可能性があるからだ。尾根の隣の谷を登れば藪の中に延びる刈り払われた巡視路ならすぐに分かるだろう。谷の雪は適度に締まっているが固すぎることもなくノーアイゼンで快適に歩けた。

 巡視路が尾根に移る場所は標高330m付近で、明瞭な刈り払われた道がトラバースするように付けられていた。あとは主稜線まで巡視路を上がればいいので心配事が一つ片付いた。先週の巡視路よりこちらの方が歩きやすく、僅かな残雪の斜面も適度に緩んだ雪でありアイゼンは不要であった。結局、この日はザックの中のアイゼンは終始出番は無かった。雪が溶けた巡視路脇にはイワウチワ、イワナシ、スミレ等の春の花が咲いていた。

 標高410m付近でで最初の送電鉄塔が登場。標高450m付近から尾根北斜面側を残雪が覆うようになり巡視路は雪の下に隠れて見えなくなった。送電鉄塔は尾根の北斜面をトラバース気味に上がるようにルートが変わることもあり、距離短縮のためこのまま尾根を登ることにした。もしこの先で藪が出てきたとしても巡視路に乗り換えればいいだろう。

 最初は尾根直上は雪が無く藪が出ているので北斜面をトラバース気味に上がっていくが、やがて尾根の上まで雪が覆うようになり尾根上へ移動。尾根南側は完全に灌木藪が出ており無雪期は巡視路以外は使えなさそうであった。標高550m付近でも尾根上の雪が落ちて藪が広範囲に出ていたので北斜面を迂回した。

 北斜面をトラバースしたので597m峰の北側で南北に延びる主稜線に乗った。予想通り西斜面には全く雪は残っていないが東側には雪が続いていた。597m峰てっぺん付近も藪が出ていたので東から巻いて623.9m三角点峰へ向かう。尾根直上でも雪が消えている箇所があったが灌木と根曲がり竹だが思ったよりは藪は濃くなく、これなら無雪期でも歩けそうに思えた。もちろん残雪が豊富で藪の様子が見えなかった区画が同程度の藪かは保証できないが。

 緩やかに登り切ったピークが623.9m三角点峰であるが、620m肩からここまでほとんど平坦だったので山頂と言う感じが乏しいが、東に張り出した顕著な尾根地形があること、意外にも南側は標高差は大きくないが急激に落ち込んでいることで三角点峰であることが分かる。山頂西側は雪が溶けて地面(藪)が見えているが最高点付近はまだ雪に覆われて三角点は見えなかった。周囲には目印や山頂標識は見られなかったので、残雪期でも訪問者は少ないようだ。

 次は真の山頂、最高峰である630m峰に向かう。三角点峰南側は雪が消えて藪が出ているので雪が残る東側から迂回したが、この下りで片方の手袋を落としたことが発覚。体が温まってからしばらく片手で手袋を握った状態で歩いていたので、どこで落としたのか覚えがない。少し戻って探したが見当たらないので帰りに探すことにする。雪の上に落ちていれば簡単に見つかるだろう。

 これまで同様に緩やかな尾根とブナ林が続き残雪でほぼ藪は見られない。でも積雪量はブナの根元を見る限りはおそらく30cmを切っているだろう。今後の気温にもよるが下手をすれば来週にも多くの雪が溶けてしまうかも。まだ残るのは主に北斜面であろう。

 地形図通りにこの付近は顕著なピークがあるわけではなく、三角点峰から真の山頂までも気付きにくいほどの緩やかな登りしかない。三角点峰からの下りを考えれば630m峰の方が本当に高いかどうか体感的には判断できないほどであった。到着した630m峰は三角点峰より平坦でピーク感に乏しい場所であった。三角点峰同様にブナ林に覆われて展望は無く、目印、山頂標識等の人工物は皆無であった。

 地形図ではここが最高峰であるが、先週のまないた山の例のように実際には別の場所が最高峰である可能性があるので、この先の622m峰まで行ってみることにした。630mから見る622m峰へ繋がる稜線はここと同じが高そうに見えている。

 これまで同様の緩やかな尾根とブナ林が続き、登っているのか下っているのか分からないくらいの平坦さである。その平坦さがブナ林が開けた肩地形で終わって明らかな下りが始まる場所が622m峰であった。多少のアップダウンはあったが合計すればここまで水平移動だったようにしか感じなかったが、630m峰を振り返るとあちらの方が明らかに高かった。間違いなく630m峰がほとら峯最高峰であった。

 帰りは往路を戻るが三角点峰でまさかのワンデリングをしてしまった。原因は藪を避けて東側から回り込んでピークに達したことで、そのまま直進すると西の枝尾根に引き込まれてしまうのであった(GPSの軌跡がそうなっているのが分かる)。また、薄いガスがかかって尾根の先の様子が見えにくかったのも要因の一つであろう。もっとも、ガスがかからなくてもブナ林で遠望が利かないが。ここで地形図と方位磁石を出して進行方向を確認すれば一発で正しいルートが判明しただろうが、この程度の山では危機感が湧かないのであった。それに最終手段としてGPSの往路の軌跡を見ることもできる。結局のところはどちらの手段を使うことなく解決できたが、2往復くらい西の枝尾根に入ってしまった。

 正しい尾根を進んで620m肩で落とし物の防寒手袋を発見。597m峰は東側を巻いて北斜面に入って藪をトラバースして往路と同じ地点で巡視路に乗り、その後は巡視路で県道に降り立った。往路では雨で気付かなかったが雪解けした県道脇でも春の花が咲いていた。吊橋を渡って只見線の線路を横断して国道へ。只見線は運行本数が少ないので滅多なことでは走行中の車両に出くわすことはないが、安全を考慮すれば事前にダイヤを確認しておくべきだろう。国道を少し歩けば駐車余地到着。


 今回は天気の都合で短時間で登れるほとら峯だったが、短時間の割には変化に富んで楽しめるルートだった。吊橋を利用するこのルートであれば県道開通前の残雪が豊富な時期でも最短距離でのアプローチが可能であり、利用価値が高いと思う。

 

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